高校生の頃、知り合いの歯医者さんに「熱いものがしみる」と話したところ、「熱いものがしみるって、けっこうやばいよ。すぐに来て」と脅されました。
慌ててその歯医者さんに行ったところ、本当に大きな虫歯になっていました。
「歯に熱いものがしみる=大きな虫歯になっている」
という公式がインプットされていたのですが、本当のところはどうなのでしょうか。虫歯の進行と症状の関係について、少しお話したいと思います。
前回お伝えしたように、虫歯は虫歯の原因菌、通称ミュータンス菌と呼ばれる細菌に感染することにより起こります。
そして、この細菌の感染度合により虫歯の大きさや呼び名が変わってきます。
歯科医院の定期検診などにいくと、歯医者さんが、歯を診ながら「C1」、「C2」、「C3」、「C4」と呪文のような言葉を言っているのを聞いたことがありませんか?
実は、虫歯の段階を表す言葉なのです。
まずは「C1」と呼ばれる段階ですが、これは虫歯の一番初期の段階で、虫歯が歯の表面の「エナメル質」にできている状態です。
この段階では痛みを感じることがありません。
その次が「C2」と呼ばれる段階で、「C1」より少し進んだ虫歯です。
歯の「エナメル質の」下にある「象牙質」と呼ばれる組織まで虫歯が進んでおり、ここには歯の神経に通じる細い管がたくさんあります。そのため、甘いものや冷たいものが時々しみて、痛くなることがあります。この「象牙質」は「エナメル質」と比べ軟らかいため、ここで虫歯が大きくなってしまうことがあります。
さらに虫歯が進むと、「C3」と呼ばれる段階に入ります。
これは、「象牙質」を突き抜けて、「歯髄」と呼ばれる歯の神経にまで虫歯がとどいてしまった状態です。この段階になると、冷たいもの、甘いものだけでなく、熱いものまでしみるようになります。
「C3」では、食べ物が虫歯の穴に入ると「ズキッ」と痛んだり、何もしていないのに痛んだりするようになります。これを私たちは自発痛などと呼んでいます。これは、「歯髄」が炎症を起こしているために起こる現象です。こうなってしまうと神経を抜いてしまうしかありません。この治療については後日お伝えします。
「C4」の段階まで行くと、かなり大変な虫歯です。歯の根っこしか残っていない状態です。これを残根などと呼んでいます。この段階の虫歯を放置しておくと、根っこの先に膿(うみ)の袋ができてしまい、あごや顔がはれてしまうこともあります。
虫歯ができてしまった場合、大切なのは、できるだけ早く歯医者さんにかかることです。
痛み止め等で一時的に痛みが治まっても、根本的に治っているわけではありません。
予防は治療に勝ります。いいづか歯科では、皆さんが歯科検診などを定期的に受けて、虫歯のない健康的な歯を守るようお勧めしています。