よく噛んで食べると何がよいのでしょう?

2018年4月17日

わたしたちは小学校のころ、給食の時間になると、
「よく噛んで食べましょう!」「ひと口30回噛みましょう!」

などと注意がうながされていました。そのため、なんとなく「食事はよく噛んで食べた方がいいんだ」と頭の中にインプットされていましたが、実際、よく噛むことはそんなに大切なのでしょうか。現代人の噛む回数と健康の関係について少し考えてみたいとおもいます。

ご存じかもしれませんが、食事をしてから脳の満腹中枢に指令が行くまでには、少し時間がかかります。
そのため、あまり噛まずに早食いをしていると、脳に指令がいく前にたくさんの量を食べてしまい、結果として肥満につながるのです。
やや逆説的な話ですが、肥満の方の中に、歯が悪い方が多いのも事実です。
歯が痛んだり、歯がなかったりするため、しっかり噛めずに飲み込むことが習慣になってしまい、肥満になってしまうのではないでしょうか。

よく噛むと、唾液が多く出ますが、この唾液が健康な体作りにつながります。
なぜなら、唾液の成分には、お口の洗浄作用、お口やのどの粘膜の保護、殺菌力等があるので、お口の衛生に役立つのです。

食べ物をかむこと自体も、歯と歯茎の健康に欠かせません。
物を噛むことで、歯と歯茎は食べ物によってこすられます。それが歯についた汚れを落とし、自然なマッサージ効果をもたらし、虫歯や歯周病になるリスクが下がるのです。特に繊維質の固い物を食べることは有効であると言われています。

現代人の噛む回数は、卑弥呼の6分の1ほどだと言われています。
卑弥呼が生きた弥生時代には、一回の食事で平均3990回だった咀嚼回数が、源頼朝の時代には2654回、そして徳川家康の時代には1465回になり、今では620回にまで低下しているようです。
主な原因は、弥生時代の食事が玄米や乾燥した木の実に干し魚といった、噛みごたえのある硬い食物が中心だったのに対し、現代人の食事はあまり噛まずに飲み込める、軟らかいものに変化していることにあるようです。
確かに、レストランで出される食事の多くは、ハンバーグ、スパゲッティ、カレー、オムライスなどのように軟らかいものが中心になってきていますね。

このように現代人の食生活は、歯科の観点からすると、心配な点がたくさんあります。
歯科医院に虫歯や歯周病の治療に来られる方に、まずお勧めしたいのは、おいしい食事をよく噛んで味わって、健康な生活を送ることです。そして歯医者さんには健康を維持するためにお越しいただくことが、いいづか歯科の望みです。

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